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けどこのままだと、
食糧の供給止められて国民は飢え死にだもんな……。
「最悪だ……この世の終わりだ……」
ウィッツは深い深いため息とともにそう呟いた。
……ウィッツのバカ者め。
少しは俺の気持ちも考えろっていうんだ。
殺気だったテオミルの通過に人々は壁に張り付いた。
バタン!ひときわ大きな音を立てて
宰相室のドアが閉まる。
中に入るとテオミルはドアに背を預け、
ずるずると座り込んだ。
……はぁーっ。
テオミルの口から、
その底は世界の反対側に通じているといわれている、
トナ湖よりも深いため息が落ちる。
……俺が喜んでおまえに縁談をすすめているとでも?
冗談じゃない。
だって俺が本当に好きなのは……。
テオミルはウィッツの乳母の息子で、
ふたりは兄妹のように育った。
先王の后であるウィッツの母は彼を毛嫌いしており、
そのことでテオミルはいつも、
ウィッツを慰めていた。
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