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……要するに。
王太妃が受けた仕打ち、
厄介者を押しつけることでお返しする、
ということだ。
ギルミアとしてはあまり受けたい話ではないが、
断れば相手は大国。
食料の輸出を即打ち切られ、
国民が餓死することは目にみえている。
この縁談はなんとしても
成功させなければならないのだ。
なのに王であるウィッツは、テオミルが好きだ、
それ以外は認めないとそればかりを繰り返す。
……あのバカ。
俺がいまままでどんな気持ちだったと?
どれだけ苦労して、想いを抑え込んでいると?
おまえにあんな女がふれると考えるだけで、
怒りで狂い死にそうだというのに……!
テオミルにとってウィッツはずっと
“特別な存在”だった。
母から王子なのだから大事にしなければならない、
そう教えられてきたからだと思っていた。
もしくは、
自分が面倒みてやらないとなにもできない、
小生意気な弟だから。
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