-洞窟-

5/5
前へ
/34ページ
次へ
鬼ノ木と云われる由縁。 それが大昔に飢饉を止めるために、木の根元で人柱を殺していた事など今を生きる誰が知ろう? 僕もこのカラダになってからしか知らなかった。 鬼ノ木は人の味を知ってしまった。 樹齢千と数百年と云われる此の木の正体は食人樹だ。 トシユキに刺さった根に電気信号が送られる。 「ふ、ふふふ、ふはははは」 トシユキが笑い出し、近くにいたミナミを押し倒す。 僕と同じ犠牲者がでた。 僕は狂った友人に、ミナミはトシユキに、【生きながらに喰われた】。 ケントは走り出した。 出口に向かって。 サキの居るであろう段差まで来た。 しかしそこに段差はなく、身体中引き裂かれたサキが鍾乳石に突き刺さっていた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加