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「なんだろうねー、こんな赤い部屋。今までの訓練でも見たことねーよ」
「だよな、気持ちわりぃ」
殺害された者は白布を羽織って本部まで戻らなくてはならない。
これは訓練だが、実戦と同様、死者は味方に死亡報告することは許されないし、足を貫いたように弾も実弾を使う。
普通の訓練では弾は抜いておくのだろうが、「ここ」では別だ。
普通ではできない事でも「ここ」なら問題にならない。
「ふう、じゃ、俺は本部へ行くとするか」
「オーバーキルで赤布に変わらないといいな、それ」
「悪い冗談はよせ」
布を羽織って立ち会がる。
「「ん?」」
エシバとミクニの声が重なった。原因は動かない片足だ。
「はぁ、はぁ……」
「え、何、このオッサン」
「離せよ、撃つぞ」
「う、ううううぁあああぁあああぁぁあっあああーーーーー!!」
ずるっ
「うわっ」「ぐふっ」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
赤い部屋の入り口には2mはある段差がある。
その上に立っていた二人の足を掴んで引き摺り下ろした男は唾液を垂らしている。
巨漢で筋肉隆々の身体だが、上半身に無数の傷跡を負っている。
しかも所々は腫れ上がり、身体部位の形成を成していない部分すらある。
「はぅぐうぅぅううぅううぅ!!!」
地に伏した二人の背に男が飛び降りて踏みつける。
「うぶっ」
バキバキと折れているのがわかる。
何度も何度も踏みつけられる。
背中で人間離れしたジャンプと落下を繰り返す男に、抵抗の言葉は届かない。
ぷしっ、と音が三回。トランポリン代わりにならなくなったと同時に意識が薄れる。
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