青いベンチ

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星がちらちらと顔を覗かせ始めた頃、私たちはお別れをした。 最後に暁美ちゃんは私と連絡先を交換したがったので、もう二度と連絡することはないだろうに、LINEのIDを伝える。こんな社交辞令的なやりとりも面倒だった。 しかし、予想とは反し、それから何度も私は暁美ちゃんと顔をつき合わせるようになる。 出会うのはいつもあの公園の前で、仕事帰りにここを通る時間が重なるのか。見計らったように彼女は私の前に姿を現した。 「月子ちゃん、時間はある?ちょっとでもいいから話したいの」 暁美ちゃんの誘いを毎回のように断ることもできず、彼女が私と話したがる理由も分からぬまま、面白くも楽しくもない時間を過ごした。 決まって私たちの席はあの塗装の剥げかけた青いベンチだった。 暁美ちゃんと再会してから、5ヶ月ほどたった冬。 手を擦りながら、寒々としたベンチに座って私たちはいつものように話し込んでいた。ばかだとはおもうが、寒くてもわざわざ場所を移してまで話すほど長く居座ることもない。お互いに冷たいお尻を我慢した。 「…月子ちゃん、私あなたに言いたいことがあるの」 ふいに訪れた沈黙のあと、暁美ちゃんがマフラーに顔を半分埋めたまま、目線だけ動かして私をじっと見つめた。 私はあまりこういった前置きは好きじゃない。言いたいことがあるなら、すぐにはっきり言ってしまえばいいじゃない。言いにくいことだったら尚更。 私は非難めいた気持ちで暁美ちゃんを見つめ返した。 「私、月子ちゃんのことがずっと好きだったの」
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