青いベンチ

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「……私も好きだよ」 口走ったのは、私の本心とちょっと違った言葉だった。 好きと伝えられることに慣れていないためか、いくら同性とはいえドキドキしてしまう。 私は暁美ちゃんのことを、最初の時のように悪くは思っていないが、自信を持って友達だと主張できるような仲でもないと思っていた。 それでも、好意を向けられることに嬉しくないわけがない。それも、彼女は人気者で、可愛くて、みんなから羨まれるような女の子だったのだ。 私の言葉に安心したように、暁美ちゃんはほっとしたような笑みを浮かべた。それから、少しため息をついて「月子ちゃんは、私を友達と思ってくれているんだね」と笑った。 「うん…そうだよ」 暁美ちゃんは私のことを友達だと思っていたのか。彼女の憂いを帯びた表情に違和感を抱きながらも、そのことに少し驚いてしまった。 言われてみれば、こうして週に何回も会って、短い時間でも話している仲ならば、友達と言っても差し支えないのかもしれない。私が慎重になりすぎていただけなのか、あるいは…自分に自信がなかったからだろうか。 「月子ちゃん、私がもし…愛してるって言ったら…引く?」 「え?」 察するに、暁美ちゃんは何か悩みを抱えている様子だった。彼女は縋るような目でなにかを訴えかけている。 「もしかして、彼氏と何かあったの?」 彼女は最近、彼氏のことで頭を悩ませているようだったので、そのことだと思ったのだ。しかし残念なことに、私は色恋沙汰とはしばらく無縁だったので、上手いアドバイスができるとは思えない。 「うん…そうだね。それもあるかなぁ」 暁美ちゃんは今の悲しそうな表情から一変し、なぜか今度は楽しそうに笑った。私の質問がおかしかったかのように笑うので、すこしむっとする。 「それより、なに、愛してるって言ったら引かれたとか?本当に好きだと思うならそう伝えるのは素敵だと思うけど。それに、彼氏なら…」
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