青いベンチ

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「私は、月子ちゃんを愛してるわ」 「………ふうん」 「………」 「やめてよ、そんな冗談」 私は暁美ちゃんから目を逸らし、まっすぐ目の前のブランコを見た。ブランコには落ち葉がくっついて、蜘蛛の巣まではって汚くなっている。 いつもは顔を背けるのにそれでも、今はそこから目を離すことができずにいた。 暁美ちゃんの真摯な目と向き合うのが恐ろしかった。 しばらく言葉を発さずにいると、隣で暁美ちゃんが立ち上がる気配がした。 「ヘンなこと……いってごめん」 私はいつの間にかうつむいて、地面を見つめていた。 彼女がいなくなってから何分もしてから、私はようやく重たい腰を上げ、立ち上がった。家に着くまで、私は一言も発せずにいた。 今までことが、夢のようにも思えた。 それから私は、暁美ちゃんに次どんな顔をして会えばいいか、なんと声をかけようかしばらく悩んでいたが、それは杞憂に終わった。 結局一度も連絡を取ったことのないLINEも使う気になれず、私は一人公園のベンチで座り込みスマホをいじった。 それが何度か続き、私は二度と彼女が私に会わないつもりでいることを確信した。 暁美ちゃんは私を「ずっと好きだった」と言った。それがいつからかは分からない。 高校の時だってほとんど話したことがないのに、ずっと私のことを想っていたのだろうか。 まだ私のことが好きなのだろうか。きっとそうだろう。好きだから、会いにくいんだろう。 そしていつか、私のことを忘れるのだろうか。
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