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「つっ月野!!」
「っ!?」
悠斗が出した大きな声にクラス全体が反応し、その中でも一際大きく反応を示す女子……月野瑞樹。
周りでは「おい、ついに新しい犠牲者が出るぞ」「悠斗も俺達の仲間入りか」などとクラスメートの囁きが始まる。
目の前の女の子に夢中な悠斗はそれに気付かず、月野に話しかけようとして……。
「英語の訳を――」
「……ください」
悠斗の言葉を遮りながら月野がボソッと何かを呟く。
一瞬の間を置いて悠斗は何かを理解する。
「あぁごめん。 俺は悠斗。 同じクラスの高崎――」
「あ……貴方の事情は知らないですし興味もないですっ、ですから……は……話しかけないでください!!」
再び、言葉を遮られてから見事撃沈した。
悠斗がポカーンとしている中、彼を全力で拒絶した女子、月野は机から立ち上がると、教室から走り去っていった。
「えっと……」
「同志よ、そんなに気落ちすることはない。 俺も月野に振られた」
近くにいた一人の男子生徒が上手く状況を読み込めずに立ち尽くす悠斗の肩に手を置く。
その一人の男子生徒に釣られて、俺もだ、俺もだ、と多くの男子が悠斗の周りに集まってくる。
「いや待ってくれ、俺はただ英語の訳を聞きにきただけで……」
慌てて弁解をする悠斗に対して、周りの男子達が仏のような優しい微笑みで頷く。
だから違うってばー!!
と悠斗の声が教室に響いた。
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