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「世界なんて滅べばいい……」
本日の授業、ホームルームを終えて放課後となり、クラスメートが思い思いに席を立ち始める中、悠斗は机に突っ伏していた。
「だから無理って言っただろう」
明が帰る支度をしながら悠斗にそう告げる。
「……別に振られたわけじゃねーし」
机から顔を上げた悠斗がムスッとした表情で明に言い返す。
「いや、明らかに興味ないって言われてただろうが。 ってか、お前だって入学式翌日の自己紹介を忘れたわけじゃないだろ?」
「そりゃそうだけども……」
悠斗は納得いかないという表情をしながら入学式翌日を思い出す――
*
「よし、じゃあ次……月野瑞樹」
担任に名前を呼ばれて立ち上がる月野瑞樹という女子生徒。
艶やかな黒髪に整った顔立ちの彼女が立ち上がり、周りの男子生徒の熱が上がる。
そんな中、悠斗の持つスマホが震える。
悠斗がスマホの画面を見ると、明からラインが届いている。
『あれがお前が言ってた子か』
『そうそう!! 普通に可愛いけど、笑うとめっちゃ可愛いんだよ!!』
悠斗は机の下で明に対してそう返事をする。
そんなやり取りをしている中、ついに月野が自己紹介を始める。
「月野瑞樹です。 別に友達とかいらないので私に構わないでください、以上です」
担任の先生を始め、教室中が呆気に取られた瞬間だった。
そんな中、彼女は何事もなかったように席へ着く。
それが彼女、月野瑞樹の自己紹介だった。
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