chapter3 君が今にもなくなりそうで

1/1
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

chapter3 君が今にもなくなりそうで

喧嘩した次の日の朝、彼は家の前に 立って私を待っていた。 彼は私を見つけると 夕紀「おはよ。……昨日は、ごめん。お 前のこと嫌いだなんて言って… 俺、親友がいなくなるなんて嫌だ…」 その時、心がズキリと痛んだ。 "親友" その言葉が深く突き刺さる。 やっぱり私は彼の中にはいないんだ。 友達としての好きしかないんだ… 夕紀「…梨花?怒ってる?」 梨花「ううん。私もごめんね。私もなんか おかしかった…突然変なこと言ってごめ ん…!」 夕紀「俺は大丈夫。…これからもよろしくな!」 梨花「うん!」 夕紀「あ、あと…帰れる日はできるだけ 一緒に帰らないか…?」 親友として。そう彼が言ってるような気 はしたけど、やっぱり嬉しくて。 梨花「もちろん!いつでも相談乗るから ね!」 私は精一杯の笑顔を投げかけた それからできる日はいつも2人で帰って いた。 ………ちょうど公園に差し掛かる所で彼 がふと足を止めて言った。 夕紀「ちょっとここで休んでいかない?」 梨花「いいよー」 私達は公園の階段から街が見える高台に 来ていた。 夕紀「やっぱり、ここから見る夕焼けは 綺麗だな。」 彼はそう言った。 この場所は… "あの子"が転校すると聞いた時のこと。 彼は歩いている時もずっと悲しそうな、今 にも泣き出しそうな横顔をしていた。 ……やめて。そんな顔をしないで… だから私は 梨花「ちょっと休まない?疲れちゃっ た」 と言ってここで話を聞いた。 それから相談があるとここに寄って話を していた。 ある日…あの子が転校してしばらく経っ た時彼が 「会いたい…」 と涙を零した。 あれからメールのやりとりはしていたら しい。 …ばかみたい…それ位で泣くなんて… 私はこんなに想う人が近くにいるのに… 今は会えない場所にいるあの子に会いた いと言って泣いた彼のことがいつまでも 頭の中で回っていた。 この距離感が大切で、切ない 触れたくても、触れられない。触れた ら、それだけで壊れてしまいそうで… 彼が いなくなってしまいそうで そうなってしまうのなら この綺麗な街の夕焼けと一緒に 私の未来も願いも連れて行って欲しい。 そんなことを彼を慰めながら考えてい た…。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!