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電話を切ってから、約一時間後。
訪ねてきた彼は、彼女の不安の通りに沈んだ面持ちで現れた。
「お邪魔します」
部屋に上がった彼を、この前と同じ場所に誘う。
そして、紅茶を淹れようと準備を始めると、彼が少し硬い声で促してきた。
「那々ちゃん。お茶は後でいいから、座ってくれない?」
うん――。
取りあえず、素直に従った。
だが、彼の纏った空気が弥が上にも彼女の不安を煽り、ぎこちなさを生む。
そうして、彼の口から語られたのは、今までの夢見心地とは別の意味で
まるで物語のように突拍子もない事だった。
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