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その事が、どれだけか彼に喜びをもたらしたか。
その思いを映すかに、彼の顔が微かに歪む。
だから那々も、自然と聞いていた。
「どうやって探したの?」
呟くように尋ねた彼女に、彼は柔らかく微笑んだ。
「僕には、自信があったんだ。
いくつの、どんな姿であろうとも、君を見た瞬間に僕には分かるって。
そして、その通りだった」
そう言った彼は、初めて地下鉄の改札前で
彼女を見付けた時の事を話していく。
「だから、出来ることなら僕は、このまま那々ちゃんとずっと一緒にいたい。
これからも、ずっと。だけど……」
重い口調で始まった話が少しだけ熱を帯び、
だが、再び視線と共にわずかに沈み、彼の声が小さく言い淀む。
そして、また少し苦しそうに口を開いた彼は、
これからも一緒にいるためには
いくつか乗り越えなければならないハードルがあると言った。
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