第19章 再び落ちて(続き)

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その事が、どれだけか彼に喜びをもたらしたか。 その思いを映すかに、彼の顔が微かに歪む。 だから那々も、自然と聞いていた。 「どうやって探したの?」 呟くように尋ねた彼女に、彼は柔らかく微笑んだ。 「僕には、自信があったんだ。 いくつの、どんな姿であろうとも、君を見た瞬間に僕には分かるって。 そして、その通りだった」 そう言った彼は、初めて地下鉄の改札前で 彼女を見付けた時の事を話していく。 「だから、出来ることなら僕は、このまま那々ちゃんとずっと一緒にいたい。 これからも、ずっと。だけど……」 重い口調で始まった話が少しだけ熱を帯び、 だが、再び視線と共にわずかに沈み、彼の声が小さく言い淀む。 そして、また少し苦しそうに口を開いた彼は、 これからも一緒にいるためには いくつか乗り越えなければならないハードルがあると言った。
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