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「ハードル……」
うん――。
なんとなく、鸚鵡返しに呟いた彼女に、
彼は、ゆっくりと視線を上げて微かに頷いた。
にわかに、ぎこちない沈黙が彼らの間に横たわった。
そしてそれを静かに破ったのは、やはり忍。
「まずね、僕たちは、とても似た姿をしているけれど、
小さな生体レベルは、すべて違う。細胞も、遺伝子も」
そのため、たとえ結婚をしても子孫は望めない。
そして、彼らの一生の長さが違うゆえに、
いつの日か、彼らの肉体的年齢が逆転してしまうことが語られる。
「じゃあ、私が先に死んじゃうってこと?」
ポツンと口にした那々の問いに、目の前の彼は静かに頷いた。
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