第5話 侵入と誓約の先に

5/5
前へ
/185ページ
次へ
何か言わなければならないと口を開くが、言葉が出てこなかった。 それどころか優馬には、目を逸らすことも表情を変えることも叶わない。 絵の中の菜々美と同じように口を薄く開けたまま、ただただ、その輝くばかりの幼い裸体を硬直して見つめるしかなかった。 呼吸をし、その不規則な音が草太に聞かれてしまう事すら気が遠くなるほど気恥ずかしい、身の置き場のない時間だった。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

142人が本棚に入れています
本棚に追加