第15話 温かな場所

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「そういえば、表に置いてあった青い自転車。あれ、優馬君のだったのかな」 「あ……はい。邪魔でしたか?」 「いやいや。倒れていたから、起こして少し隅っこに寄せておいたよ。ここ、駐輪場が狭くて停められなかったろ。ごめんね」 「いえ……すみません、ありがとうございました」 「どういたしまして」 少し熱を帯びたような眠そうな目が優馬を再びじっと見つめた後、ゆっくり離れて行った。 以前会った時の信夫とは、少し違う雰囲気をまとっていると感じた。やはり体調のせいなのだろうか。 「なんか、すごくしんどそうだったね」 寝室に入っていった信夫を見送った後、優馬はぽそっとつぶやく。 けれど草太は全く気にしていないようにどんぶり鉢を2つ抱え、 「ほら座って座って! 伸びちゃうってば!」と、楽しそうに優馬を促した。
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