第18話 異端

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菜々美の絵を見つけた前日、あのモーテルから松宮が出てくるのを見かけたのは本当に偶然だった。 その時は絵のことなど知らなかったので、もしかしたら松宮が「蒼月」の持ち主なのかなと、なんとなく思っただけだったのだが。 けれど絵を見つけた瞬間、頭の中ですべてが繋がった。 これを描いたのは松宮かもしれないと。 本当にその絵を描いたのが担任の松宮で、二人がそういう関係だとしたら、優馬はどういう反応をするのだろう。 菜々美を嫌いになるのだろうか。 女というものが理解不能な生き物だと感じてくれるだろうか。 菜々美の裸体を長時間見つめながら、そんなことばかりを考え込んでいる自分に気づき、草太は改めて確信する。 自分は異端なのだと。 可愛い女の子も、同学年の男子がこっそり眺めていた18禁の動画も、心をざわつかせなかった。 自分の意識の先に居たのは、いつでも優馬だ。 それは本当に認めるのが恐ろしい事実であり、そして、避けることのできない呪縛だった。
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