第1章

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--  生まれながらにして、ニキビとは無縁のツルツルな剥き卵のような肌。  決して容姿が整っているとは言い難い私の唯一の取り柄だった。  可愛い、と言われることよりも綺麗な肌だね、と言われることの方が断然多く、それならばこのクオリティを維持したいと思うようにまでなった。  そのことを自覚した中学生時代、衣服に比べてスキンケア用品に費やす金額が群を抜いていた。  そして、高校生ともなればアルバイトが解禁され、自分で稼いだお金ということもあってか、前にも増してそこに高額な資金を投下すると。  今度は他者を見下すようになる。  私はこんなにも努力して今の現状を手に入れていると言うのに、どうして周りは平然 と自由気ままでいられるのだろう。  例えば夜遅くに油分の強いスナック菓子を食べる人、化粧を落とさずに眠る人、出来たニキビを潰しにかかる人。  どれをとっても私には信じられない行為だった。  どんなに美人でも肌が汚かったら百年の恋も一度で冷めるというもの。  不潔な顔を周囲に晒して恥ずかしくないのかと嘲るような気持ちで彼女たちの顔面を眺めていた。    
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