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わけがわからず剣と男を交互に繰り返し見るアレに、男は試すように声をかける。
それにアレは剣をゆっくりと持ち上げようとするが、
「こ、こんな、の……振れ、ない、けど……っ」
「けど、ないよりいい」
「う……う、わっ」
さらに押し付けるように、鞘も渡される。
その二つの重量合計2,5キロを持て余し、アレは後ろにひっくり返る。
その様子に男はケラケラと笑い、
「かかか……で、あんたバイタじゃねぇだろ?」
「……?」
初めて聞く単語に、アレは剣をとりあえず鞘に収めて横にのけ、疑問符を浮かべる。
男はボサボサの髪をかき上げ、
「売りやってる女のことさ、売女(バイタ)」
「?」
これだけ言ってもわからないアレを男は覗き込み、
「娼婦じゃ、ねぇだろ?」
「かっ」
アレは唐突なその言葉に、むせかえる。
意味だけは知っていたが、とんでもない言葉過ぎて空気が肺から喉を通って漏れ出ていた。
「あ、当たりっ、前」
「かっかっか、そう怒んなよ」
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