第二章「剣 -brade-」 続き

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 男は、楽しんでいた。  この無知で無垢な少女とのやり取りを。  そして一通り笑った後、 「で、この村の人間でもない」  唐突な断定文に、アレはドキリとする。 「……なんで」 「見りゃわかるよ。服装、立ち振舞い、視線に、気品……あんたいい女だ」  ぐい、と腕を引き、再びアレを立ち上がらせる。  それにアレは目をむき、怯える。 「ぃ? あ、の……」 「心配すんなって、今すぐ無理やりなんて気、もうねーよ」  男はすぐに手を離し、そして改めて同じ目線でアレを見る。  アレは微かにそれに、気圧される。 「あんたの、名前は?」 「――アレ=クロア」  今度は男の方が微かに、気圧される。  予想していなかったほど、それは高貴な名前だった。 「……っへぇ、イカすぅ。で、あんたなにやってんの?」 「――なにって?」 「なにって、そりゃあ……」
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