第二章「剣 -brade-」 続き

5/40
前へ
/40ページ
次へ
「…………」  その鋭い視線に、男は圧倒される。  こんな女を、男は見たことがなかった。  先ほど奇しくも自身が語った獅子という軽口は、図らずも当たっていたことになった。 「――あんた、どうしたい?」  それは男が、意図せずに発せられた言葉だった。  この少女には、行くべき場所がある。  そこに溢れ出る信念がある。 「世界を、変えなければ……!」  それは折れるような歯ぎしりの元紡がれた、執念のような言葉だった。 「よっ、と」  それに男はアレの身体をひょい、と抱え上げた。  首の後ろと、膝の後ろに、手を回して。  いわゆる、お姫様抱っこ。  その突然の所業に、アレは目を剥いた。 「なっ、ちょ、か……」 「まーまー落ち着きなよ。あんた、歩けないんだろ? だから俺がこうしてお、ぶっ!?」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加