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予感
帰宅途中、救急車とすれ違った。
その時にふと思ったこと。
俺、近いうちにあれに乗ることになる。
その予感は的中し、三日後、倒れた母の付き添いで、俺は救急車に乗ることになった。
別の日、パトカーとすれ違った。
その時に思ったのは、近く、あれが家に来る、だった。
後日、近所に空き巣が入り、聞き込みと防犯説明にパトカーが付近一帯を回った。
さらに別の日、歩いていると遠目に消防車が見えた。
あれとすれ違ったとして、その時何かを感じたとしたら…。
消防車に乗るってことはないだろうから、あり得るのは家に来るか近所に来るかだ。
どっちにしても大事だが、申し訳ないけれどそこはやはり、自宅より近所であってくれと思ってしまう。
今更避けられない距離を、赤い車が凄い勢いで詰めてくる。すれ違う。
その時に思ったのは…。
俺はその内、この車に轢かれる、だった。
…とりあえずあれ以来、出歩くことはなるべく避け、どうしてもの際は慎重に慎重を重ねるようにしている。
消防車に轢かれること自体嫌だけど、それ以上に、俺に関わったせいで、間に合うものが間に合わなくなったりしたっらてのもあるからな。
今日も、どこかで消防車らしきサイレンの音を聞くたび、俺は、あの予感が的中してしまわないよう、ひたすら周囲に気を配り続けている。
予感…完
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