雪と霰、時々晴れ

2/12
前へ
/12ページ
次へ
 帰り道にある公園の西口付近にて。 「――ごめん! 他に気になる奴出来てさ」  わたしの目は大きく見開いた。  帰り道にある公園の東口付近にて。 「――ごめんな。お前より好きな奴出来た」  アタシの口は大きく開いた。 ――――  あー……まさかフラれるなんて。  あー……まさかフラれるなんて。 「――あ」 「――あ」  公園の南口で、わたし――雪(ゆき)と、アタシ――霰(あられ)は鉢合わせた。 西口と東口、互いに、同時に歩いて来たようで。 帰り道が同じだから仕方がない。 「……その顏、見た事ある」  雪が言った。 「……アタシもその顏、覚えある」  霰も言った。 一呼吸置いて、せーの、と言ったのは同時。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加