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「フラれたー」
「フラれたー」
通算三度目の同時フラれに二人して天を仰ぐ。
そして。
「他にわたしより気になる人出来たんだって」
「他にアタシより好きな人出来たんだって」
理由を報告する。
はぁ、と白い息ごと天に吐いて前を向く。
互いの顏を見て、一歩近づく。
もう三度目。次の動作も自然に同時だ。
雪のふわふわな長い髪の頭、霰のさらんとしたボブの髪の頭。
互いの頭をぽんぽん、なでなで。
慰め合う。
「――帰ろっか」
雪がマフラーに顎をうずめながら言う。
「うん。あー……なんだよ他に好きな人ってさぁ……ねぇ?」
霰が口を尖らせながら鼻を啜る。
公園の南口を出て、近くの横断歩道まで歩く。
歩く、のろのろと。
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