第2章

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旅の初めは前衛2人が攻撃、後衛2人が補助と回復と、それぞれの役割がはっきりとしていた。 しかし勇者が力をつけはじめると状況が変わった。勇者は剣での攻撃の傍ら、回復呪文も使いこなすようになった。 初めのうちは不慣れだった為か、魔力の効率がいいわけではなかった。勇者に呪文を教えることもあった。 それを勇者は難なく覚え、改良し、いつしか僧侶の自分を超えるほどの回復力を身につけた。 焦った。このパーティに居場所が無くなるのではないかと。みんなの負担になってしまうのではないかと。 夜も寝ないで魔法の研究をした。 新しい町や城に着くたびに神父に教えを請い、新しい呪文を次々に覚えた。 もちろん覚えた魔法の練習は何度も何度も練習を重ねた。 それこそ実戦と練習で発動した魔法の数など覚えてられないほどにのぼっている。 しかしどれだけ努力しようとも、勇者に追いつくことはできなかった。 そうしていつからかだろうか。せめて荷物にはなるまいと、皮肉にも荷物持ちをするようになったのは…。 後ろめたさから始めたそれは、いつしか習慣になっていた。
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