第2章

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女魔法使い「ありがとう…あっ」 松明を渡す指先が軽く触れ合う。思わず手を離し、目をそらしてしまう。 女魔法使い「ご、ごめんねっ…ちょっと、びっくりしちゃって」 僧侶「あ、ううん、こっちこそごめん」 女魔法使いのほうを見ると、触れた指先をもう片方の手で撫でていた。頬に少し赤みをさし、大きな瞳は少し伏し目に。 つい、見惚れてしまう。 彼女がゆっくりと目線を上げ、目と目が合う。何か言わねばと口を開こうと―― 勇者「おーい、はやくこいよ!置いて行くぞ!」 女魔法使い「あ、は、はいっ!今行きますっ!」 踵を返し、洞窟の中へと小走りで消えていってしまった。 触れ合った指先をながめる。彼女はずっと、憧れの人だった。
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