最終章

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僧侶「どうしたんですか、こんなところで?」 こんなところでというのもあれかもしれないが、こんなところといえばこんなところだ。 顔を見てみれば話しかけた中年女性は、以前村娘のお見舞いに来ていた人であちらも俺を覚えていたようだ。 中年女性「あら、あんたは村娘ちゃん家の居候君じゃない?いつの間に来たんだい?」 …質問に答えていないが、まあしょうがない。 おばさんとは我が道を行く生き物なのだ。 僧侶「はい、ちょうど30分ほど前に着きまして。先ほど村長の家を出てきたところです」 中年女性「あらそうかい。そういえばあんた魔王を討伐したらしいじゃないか!みんな大喜びだよ!」 …話が進まない。 多少無礼かもしれないが、話を進めさせてもらおう。 僧侶「それはよかったです。それで、なんで村娘の家の前にいるんですか?」 俺の質問に中年の女性はとても辛そうな顔を見せた。 まさかこんな表情を見せられるとは思っていなかった俺は、思わずたじろいでしまう。 僧侶「そんな表情をするような質問でしたか?」 ここまで言葉を発して、俺はあることに気が付いた。
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