第1章

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伝説とばかり思われていた『選ばれし者』。その出現に国は戸惑った。 魔王の軍勢との小競り合いが続いていたせいで国は疲弊しており、討伐軍を編成するだけの余力は残されていなかった。 一国の安寧と世界の平和。その選択に、国王はとても苦しんでいた。だから、4人で旅立つことを決めた。 最初は反対された。無理をしてでも討伐軍を編成してくれるとも言った。 けれども、4人にとっても故郷の国は大切なものだった。俺にとっては国を守る以外にも守りたいものがあり、他の3人にもあったのかもしれない。 最終的には国王が折れた。国で用意できた最良の装備と資金を受け取る。定期的に連絡と物資を送ってもらうことを約束してもらい、旅にでた。 順調な旅だった。それぞれがそのために鍛錬を重ねてきたのもあったが、『選ばれし者』としての勇者の力は絶大だった。 戦士の膂力に魔法使いの魔力。両方を兼ね備えるばかりか、それ以上の力を発揮し、これまでいくつもの町や村を救ってきた。
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