イストルランドのオバケ退治

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がっかりした様子でエクート様は言った。 あの男も不在だと言うことに、俺は胸を撫で下ろす。 あの魔導師とミモザが二人きりでオバケ退治なんてことになったら。 暗闇の中で、ミモザがあの男の毒牙に掛けられる事態になるかもしれない。 ミモザは押しに弱いから、図に乗ったあの魔導師が、俺の知らないあんなことやこんなこと、それからもっと過激な事をミモザ相手にやってしまう恐れがある。 勿論、俺にはそれがどんなことなのかは全然検討もつかないが。 ……どちらにせよ、そればっかりは許せない。 「困ったわ……私独りだと、やっぱり心細いし」 「ぼぼっっ、ボクも頑張って行くよ、だから……」 ひきつり笑いを浮かべるエクート様は、既に足が震えている。 さっきは足くらい無くなってもと考えていたけれど、いざ歩きたくても歩けないとなると、やっぱりじれったい。 第一、こうしてミモザがピンチの時に、俺はなにもしてやれないんだから。
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