イストルランドのオバケ退治

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「ミモザあぁぁあっ!!」 天井を突き破らんばかりの大声と共に、エクート様が部屋へと入ってきた。 がんがんと反響するその声に、俺はつい渋い顔をしてしまう。 俺のことなど目に入らない様子のエクート様は、礼拝堂の裏にあるこの小さな個室を隅々まで見渡すと、目的の彼女の姿が無いことに気付いて大きく溜め息をついた。 表情がころころと変わる様子は見ていて楽しいが、大声だけはもう少し控えめにして欲しい。 「サスー、ミモザ見なかった??」 口をすぼめて、エクート様は俺の枕元へとやって来た。 傍らにあった木の椅子を引き寄せて、どっかりと腰を下ろす。 正直エクート様とはまだあまり打ち解けていない。 というよりも、俺は相当な人見知りなのだ。 だというのに、エクート様は俺がこの町に来たその日のうちに、まるで無二の親友のような口振りで話しかけてきた。
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