2人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「ミモザあぁぁあっ!!」
天井を突き破らんばかりの大声と共に、エクート様が部屋へと入ってきた。
がんがんと反響するその声に、俺はつい渋い顔をしてしまう。
俺のことなど目に入らない様子のエクート様は、礼拝堂の裏にあるこの小さな個室を隅々まで見渡すと、目的の彼女の姿が無いことに気付いて大きく溜め息をついた。
表情がころころと変わる様子は見ていて楽しいが、大声だけはもう少し控えめにして欲しい。
「サスー、ミモザ見なかった??」
口をすぼめて、エクート様は俺の枕元へとやって来た。
傍らにあった木の椅子を引き寄せて、どっかりと腰を下ろす。
正直エクート様とはまだあまり打ち解けていない。
というよりも、俺は相当な人見知りなのだ。
だというのに、エクート様は俺がこの町に来たその日のうちに、まるで無二の親友のような口振りで話しかけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!