イストルランドのオバケ退治

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「宿題の手伝いなら致しませんよ?」 にっこりと笑うミモザだが、エクート様はうぅと唸りながら激しく首を振った。 小太りな大臣がエクート様の真後ろに付き従って、あれやこれや小言を喋っている姿は、これまで何度も見てきた。 宿題を他人にやらせたと知ったら、大臣は恐らくその禿げた頭から蒸気を噴き出さんばかりに怒るだろう。 実際、1度エクート様が算術の宿題を門番の兵士に解かせていた事がバレた時は、大臣の怒鳴り声が4階から、俺のいる1階のこの部屋まで響いてきたっけ。 「そうじゃないの。オバケ、オバケが出るんだよぉ!!」 「ぷっ」 つい噴き出してしまった。 エクート様は深刻な顔のまま、ちらと俺に目を向ける。 「本当なんだって。ミモザは、お城の裏にある廃城、知ってるでしょ?」 「えぇ。このお城ができる前のイストルランド城で、火山の噴火が原因で崩れてから、使えなくなってしまったんですよね」 「噂では、最近そこにオバケが住みついちゃって、中に入った人達に取りついて、殺しちゃうんだって! 夜な夜な、お城からオバケの呻き声が聞こえてくるらしいし!」 「入らなきゃいいのに」 俺の呟きはかなり大きかったらしい。 考えていることがつい口に出てしまうのは、昔からの悪い癖だ。 再び俺の方を向いたエクート様が、突然ベッドの上に飛び乗ってきた。 「ぐぇっ!?」 肺の辺りを圧迫されて、一瞬息が止まる。
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