イストルランドのオバケ退治

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魔法使いと違って、魔導師なら複数の属性魔法を操ることが出来る。 正直闇属性に自信はないが、やってやれないことはない。 「お、俺が代わ」 「サスは歩けないでしょ!」 いまだに俺の体に跨がっているエクート様に即刻拒否されてしまった。 これはこれでなさけない。 エクート様は、どういうわけか俺に跨がったまま腰に手を当ててふんぞり返っている。 「そっそうだ、シダーは?あいつなら、闇属性、使えるし……」 この際ミモザの命には変えられない。 闇属性魔法が得意なシダー・スプルースの名を出すが、それにもエクート様は首を振った。 「シダーは別の用事があって、いないんだよね。ミドは持病の関節痛とヘルニアが痛いから外を出歩けないって言うし……」 イストルランドでも数少ない上級魔導師の名前を出す。 ミド様は、確か今年で98歳。 あの方にとって、イストルランドの雪は相当堪えるだろう。 「あ、いつも来てるあの魔導師は……」 毎日のようにミモザにちょっかいを出している若い上級魔導師の男を思い出し、嫌々ながらも訊いてみる。 「ラヴェルのこと?」 「ラヴェルもシダーと一緒に出掛けちゃったんだ、他の魔導師は闇属性魔法使えないし……」
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