最終章 異端魔術師はもう本気だしてる

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「なん、だと……? マックス君もヴァンを狙っている?」  勘のいいルーシーだけが、この状況を理解していた。ヴァンのケツが、マックスに狙られていることを!  ルーシーは青ざめた顔をして、正面からヴァンに抱きついた。 「ヴァン! 早くおしりを隠して! 刺されちゃう!」 「俺おしり刺されるの!? どういうこと!?」 「猛々しいマックスソードがヴァンを貫くの! ウホウホしたマックス君が危険なの!」 「マジでどういうこと!?」  ウホウホってなんだ……ルーシーが何を言っているのか、ヴァンには理解できなかった。  リーゼロッテとアリアは目をつり上げて、困惑しているヴァンに飛びついた。 「ちょっとルーシー! 抜け駆けはずるいわよ!」 「そうですわ! 幼なじみとはいえ、スキンシップは遠慮してくださる!?」  リーゼロッテは右腕に、アリアは左腕に、そしてルーシーは真正面から、ヴァンに抱きついている。三人に抱きつかれていれるヴァンは、病み上がりで辛そうな顔をしているが、興奮状態の三人はそんなに気にしていない。ヴァンを取られるものかと、必死にしがみついている。 「ははは! ヴァン! 背中が空いてるぜ?」  マックスはヴァンに背中から抱きついた。 「バ、バックは絶対駄目ぇぇぇ!」  勘違いしたルーシーが悲鳴に近いような叫び声を上げた。さすがにこの状況でバックからのマックスソードはないと思うが……うん。あるかもしれない。ヴァン、貞操の危機である。
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