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普段のヴァンなら「そうだぞ! だから、もっと尊敬してチヤホヤしろ!」とか言いそうなものだ。それなのに、どうも反応が大人しすぎる。
「もしかして……褒められて照れてるの?」
「はぁぁぁぁぁ!? な、なんでリーゼごときに褒められたくらいで照れるんだよ!」
「だってほら、顔赤いわよ?」
「それは……その、あれだ! リーゼが火系魔術を使ったから暑いだけだ!」
「ふふっ。なぁんだ。結構可愛いところあるじゃない」
「かっ、可愛いとか言ってんじゃねぇよ! くそ、リーゼのクセに生意気だ!」
「私の名前を悪口みたいに言わないでくれる!?」
そう言いつつも、リーゼの頬は緩みっぱなしだった。
魔術が成功したこと……そして、ヴァンの意外な一面が見れたことが嬉しくて。
「もういい。俺は自主練する。もうクラス代表戦も近いし、今日はこれでお開きだ」
機嫌を損ねたヴァンは、講義を早めに打ち切った。
「そっか……アリアに勝ってね、ヴァン。応援してる」
リーゼロッテがとびっきりの笑顔で言うものだから、ヴァンは、
「ばーか……アリアなんか余裕だっての」
再び頬を赤くして、そっぽを向くのだった。
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