第二章 異端魔術師と異端研究者

57/57
2927人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
 普段のヴァンなら「そうだぞ! だから、もっと尊敬してチヤホヤしろ!」とか言いそうなものだ。それなのに、どうも反応が大人しすぎる。 「もしかして……褒められて照れてるの?」 「はぁぁぁぁぁ!? な、なんでリーゼごときに褒められたくらいで照れるんだよ!」 「だってほら、顔赤いわよ?」 「それは……その、あれだ! リーゼが火系魔術を使ったから暑いだけだ!」 「ふふっ。なぁんだ。結構可愛いところあるじゃない」 「かっ、可愛いとか言ってんじゃねぇよ! くそ、リーゼのクセに生意気だ!」 「私の名前を悪口みたいに言わないでくれる!?」  そう言いつつも、リーゼの頬は緩みっぱなしだった。  魔術が成功したこと……そして、ヴァンの意外な一面が見れたことが嬉しくて。 「もういい。俺は自主練する。もうクラス代表戦も近いし、今日はこれでお開きだ」  機嫌を損ねたヴァンは、講義を早めに打ち切った。 「そっか……アリアに勝ってね、ヴァン。応援してる」  リーゼロッテがとびっきりの笑顔で言うものだから、ヴァンは、 「ばーか……アリアなんか余裕だっての」  再び頬を赤くして、そっぽを向くのだった。
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!