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シャワーの流れる音が聞こえてくる。
部屋に備え付けのシャワールームで、アリアは温かい湯を浴びていた。
ご自慢のツインテールは、今はもう解いてある。豊かな双丘を隠すように、濡れた金色の髪は前に垂れていた。もっとも、髪の毛で隠れるほど、アリアの胸は慎ましくない。ほとんど見えてしまっている。
アリアの頬が赤いのはシャワーが熱いせいなのか。
それとも……ヴァンのことを考えているからか。
「ヴァン……あなたのこと、もっと知りたいですわ」
シャワーのスイッチを切り、アリアはため息をついた。
「はぁ。これは……この気持ちは、恋ですの?」
瞬間、胸のあたりが熱くなる。
「わ、わたくしが、あんなデリカシーのない男に惚れるわけないですわ!」
アリアは自分にそう言い聞かせる。濡れた髪を振り乱すと、同時に胸も大きく揺れた。
一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとする。
「すーはーすーはー……ヴァンのことなんて……ヴァンのことなんて……っ!」
思い出すのは、ヴァンが頭を撫でてくれたこと。
あの温もりが、とても愛おしい――。
「もっと……もっと撫でてほしいですわー! きゃああああー!」
子どもみたいにはしゃぎ、その場で飛び跳ねるアリア。言うまでもないが、胸が上下にばいんばいんと暴れている。
それにしても、プライドの高いアリアが、こうも男に惚れやすいとは……アリアは案外チョロかった。
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