第三章 異端魔術師はパンツがお好き

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 ◆  一年A組のクラス代表決定戦はヴァンの勝利で幕を閉じた。  あの日から、二週間がたとうとしている。  学年二位の実力者アリア=シーメールを、学年最下位のヴァンが破る。このビッグニュースにクラスメイトは大いに盛り上がった。ニュースはクラスを超え、学年全体、そして上級生へと伝わり、ヴァンは一躍時の人になった。  そんな有名人のヴァンは今、自分の生活している寮の裏側で、リーゼロッテを待っている。日当たりのないジメジメしたところで、落ち着かない様子で立っていた。 「リーゼのヤツ、遅いな……」  独り言ちるヴァン。待ち人がなかなか来ないので、そわそわしているようだ。  彼女と会う目的……それはパンツを貰うこと。変態を通り越して、もはや人として駄目だった。 「リーゼのパンツか……何系だ? 清楚系? それともこの前みたいな大人系? いや、くまさんがプリントされたお子様パンツという可能性も……うふふ」  ヴァンの頬がだらしなく緩む。発言といい表情といい、ただの変態犯罪者予備軍である。「ガードマンさん、この人です」と通報されても文句は言えまい。
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