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まぶたの裏の闇の中、ヴァンは考える。
いよいよパンツだ。パンツが貰える。
なりたくもないクラス代表になった代償としては……どうなのだろう。天秤にかけるようなものではないが、少なくとも、後悔はしていない。むしろ清々しい気持ちだ。
だけど……リーゼロッテは、どうしてここまでするのだろうか?
本当の実力をみんなに証明してほしい……たしかにそう言っていた。
自分の師匠には、舐められてほしくない。堂々としていてほしい。そういう想いもあるだろうが、ヴァンはどうも腑に落ちなかった。
いや、真の問題はそこじゃない。パンツだ。どうしてパンツを交渉材料にしたのだろう。他にも手段はあっただろうに、クラスメイトから奇異の目を向けられてまで、何故パンツを?
まさか……パンツという物品が交渉するのに適している理由があった?
ヴァンが核心に迫ろうとした、そのときだった。
「はい、ヴァン。パンツよ」
目を閉じた状態のヴァンの手に、一枚の布が渡される。
この瞬間、ヴァンの理性は呆気なく崩壊した。先ほどまでの推理などどうでもよくなり、パンツの手触りを確認する。
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