第三章 異端魔術師はパンツがお好き

39/44

2927人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
 まぶたの裏の闇の中、ヴァンは考える。  いよいよパンツだ。パンツが貰える。  なりたくもないクラス代表になった代償としては……どうなのだろう。天秤にかけるようなものではないが、少なくとも、後悔はしていない。むしろ清々しい気持ちだ。  だけど……リーゼロッテは、どうしてここまでするのだろうか?  本当の実力をみんなに証明してほしい……たしかにそう言っていた。  自分の師匠には、舐められてほしくない。堂々としていてほしい。そういう想いもあるだろうが、ヴァンはどうも腑に落ちなかった。  いや、真の問題はそこじゃない。パンツだ。どうしてパンツを交渉材料にしたのだろう。他にも手段はあっただろうに、クラスメイトから奇異の目を向けられてまで、何故パンツを?  まさか……パンツという物品が交渉するのに適している理由があった?  ヴァンが核心に迫ろうとした、そのときだった。 「はい、ヴァン。パンツよ」  目を閉じた状態のヴァンの手に、一枚の布が渡される。  この瞬間、ヴァンの理性は呆気なく崩壊した。先ほどまでの推理などどうでもよくなり、パンツの手触りを確認する。
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2927人が本棚に入れています
本棚に追加