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「喜んでもらえてよかったぁ」
リーゼロッテは安堵の笑みを浮かべている。
ヴァンを騙すことに、リーゼロッテも罪悪感があった。さすがにパンツはあげられないが、何か別のプレゼントをあげることに決めた。
ヴァンは主夫になりたい……そのことを思い出したリーゼロッテは、エプロンをあげようと思いつく。
しかし、リーゼロッテの手先は器用ではない。そもそも、裁縫などほとんどしたことがなかった。そこでアリアに頼み込み、やり方を教えてもらったのだった。
もっとも、アリアはリーゼロッテがヴァンのためにエプロンを縫ったことを知らない。アリアに真の目的を教えると、彼女は協力してくれないだろう。そう思ったリーゼロッテは、実家の母に送ると嘘をついたのだった。
ヴァンはエプロンを見て、なんだか心が温かくなるのを感じる。
(まったく。この頑張り屋さんめ。手がボロボロになるまでやるなよな……)
おもわずヴァンは苦笑する。
「でも、このアップリケはダサいな」
「まさかの批評!? か、可愛いんじゃなかったの!?」
「リーゼ。これ、外していい?」
「駄目に決まってるでしょ! これが一番苦労したんだからね!」
「センスねぇなぁ。パンツでも付けてあれば最高に面白いのに」
「いいけど、それを着るつもり!? あんたのハート強すぎよ!」
「ふんっ!……ちっ、しっかり縫い付けてあるな」
「何取ろうとしてんのよ! 蹴り飛ばすわよ!?」
「リーゼさん、もう蹴ってます!」
ヴァンのすねにリーゼロッテの革靴がヒット。ヴァンは「くそ、妖怪パンツロッテさんめ……」と涙目で悪口を言う。
リーゼロッテは目をつり上げて怒っていたが、その表情はすぐに破顔する。
「これからもよろしくね、ヴァン」
赤い髪を揺らし、嬉しそうに微笑むものだから。
「……おう。よろしくな、リーゼ」
ヴァンもまた、つられて口もとを綻ばすのであった。
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