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「やばいっす。鼻血でそうっす……」
「おいおい。ステラ。大丈夫かい?」
マックスは、鼻を押さえるステラにハンカチを差し出した。ステラは申し訳なさそうにハンカチを受け取る。
このマックスという男、紳士的で優しいヤツだ。ヴァンはそう思ったのだが……。
「ステラはレディーなんだから――」
腕を曲げ、上腕二頭筋をふくらませるマックス。
「人様の前で邪な妄想は――」
胸を張り、大胸筋を躍動させるマックス。
「してはいけないよ?」
立ち上がり、後ろを向いて両腕を上げ、背中に逆三角形を作るマックス。
制服の上からでもわかる。彼は真性のボディビルダーだ。
「マックス……あんた、筋肉すげぇんだな……」
「ああ。筋肉は友達さ!」
「魔術師の俺にその発想はなかったぜ……」
彼だけは常識人だと思っていたのに……やっぱりこの学園、変人しかいなかった。
「そちらのお嬢さんは一年B組の代表かい?」
着席したマッスル、もといマックスはルーシーに尋ねる。
「うん。ボクはルーシー。よろしく」
「よろしく、ルーシー。ヴァンと一緒に入って来たようだけど、知り合いなのかい?」
「知り合い。というか、許嫁」
その言葉に真っ先に反応したのは、ヴァンではなくステラだった。
「ヴァンは浮気者っす! マックス君というフィアンセがいるのに!」
「お前の中ではな! どちらとも婚約してねぇから!」
駄目だこいつ。早く何とかしないと。ヴァンは学園生活の平和を取り戻そうと、必死に思考を巡らせる。
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