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ルーシーは論外だ。デート気分で絡んでくるに違いない。下手したら、貞操の危機まであり得る。パトロールどころか、自分の身を守ることでいっぱいいっぱいになるだろう。
ステラは気さくでいいヤツだが、頭の中は腐っている。パトロール中に鼻血を出しながら、男性同士のカップリングについて語ってくるステラが容易に想像できた。
消去法でマックスに……いや、待て。ボディービルダーとパトロールだと? なんだその暑苦しいデスマーチは! もはや罰ゲームじゃないか!
「なぁ、ステラ。俺とペアを組まないか?」
今度こそ、消去法でステラを選んだ。ステラが腐った妄想をしないよう、話題に気をつければ、なんとかなるだろう。ヴァンはそう考えた。
「お、ご指名っすか? あたしはウェルカムっすけど、ルーシーちゃんが許さないんじゃ?」
「う……や、やっぱり?」
チラリとルーシーを見る。
しかし、ヴァンの心中とは裏腹に、ルーシーは涼しい顔をしていた。
「いいよ。ボク、マックス君とペアを組む」
「え? い、いいのか?」
「うん。ボクがマックス君と仲良くなれば、ヴァンはボクにやきもちを妬く。そしてヴァンは気づくんだ。ボクに知らぬ間に恋をしていたって。一番身近なところに愛はあったんだって……」
「あ、あー……そうだなー。嫉妬しちゃうかもなー、俺」
適当に相槌を打つヴァン。下手にツッコミを入れるよりも、この流れでステラとペアになろうとしているのだ。
「マックス君。ペア、ボクでもいい?」
「ああ、もちろんさ」
空気を読んだマックスの言葉を聞き、ヴァンは安堵のため息をつく。
「ふぅ……というわけだ。よろしくな、ステラ」
「はい、こちらこそっす!」
ヴァンは今後のルーシーの態度に不安を覚えつつ、ペアになったステラと握手を交わした。
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