第五章 紛れ込んだ宝石<ファリダット>

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 相変わらず、ディーはこの調子だった。さすが異端研究者。頭のイカれ具合も異端である。  ディーは息を乱しつつも、手元のカルテに片手で記録をつけている。素早くペンを走らせ、本人しかわからない汚い字でカルテを埋め尽していく。  数分後、ディーは書く手を止めて、呪術炉から手をどける。 「はぁはぁ……はい、今日のメンテナンスは終了だよ。うん、異常なしだね」  ディーはヴァンから離れて、カルテをデスクの上に置いた。 「……いつもありがとう、ディー」  げっそりとした表情でヴァンは礼を言った。  ヴァンはワイシャツを手に取り、下から順にボタンをとめていく。  彼がブレザーを着たところで、ディーは思い出したかのように声を上げた。 「あっ! そうだヴァン、クラス代表になれたんだって? おめでとう、すごいじゃないか!」 「ああ、そういえば言ってなかったな……って、なんで知ってるんだ?」 「エマさんから来たお手紙に書いてあったんだぁ」  にんまりと笑い、手紙をちらつかせるディー。  手紙は白と黄色の縞模様の便箋だった。可愛らしい熊の絵まで描いてある。いい年して何やってんだかと、ヴァンは呆れてツッコミすらしなかった。
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