第二章 異端魔術師と異端研究者

2/57
2927人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
 ヴァンが王立ファウスト魔術学園に入学して一週間がたった。  新入生たちは学園生活だけでなく、寮生活にも慣れてきた頃だ。  ヴァンの部屋は一人部屋だった。その代わり、物置部屋を改装した部屋で、狭いうえに窓がない。  とはいえ、彼自身は日当たりがないよりも、同居人がいないほうが嬉しかったらしく、結構気に入っているようだ。 「へぇ、ヴァンは一人部屋なんだ。私も一人がよかったなぁ」  リーゼロッテは羨望のまなざしでヴァンを見つめている。  現在、二人は魔術演習場での授業を受けている。先日、ヴァンが魔術講座を開いた場所だ。  受けている授業は魔術演習。担当の教師に名前を呼ばれたら、みんなの前で初級魔術を披露することになっている。  名前を呼ばれるまでの間、生徒は座って待機する。出番までは暇なので、ヴァンとリーゼロッテは雑談していたのであった。 「バスルームがないから、学生共有のシャワー室に入らないといけないのが面倒だけどな。リーゼのルームメイトはどんなヤツだった?」 「……あれよ、あれ」  リーゼロッテが視線を送った先にはアリアがいた。
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!