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バキッーーー
嘘だ、笑えるわけねぇ、心の底から泣いているさ!
『うおおおおおおおーーー、嘘だろーーー!!』
立ち上がろうと身を起こしたら、下敷きになっていた携帯がもっとバキバキになった。
もうはっきり言ってただのゴミ。
すがりつくように携帯を操作するが、液晶画面の解読は不可能だった。
電池は一応つくようだ。
画面を押したら少し震える。ただ、何をタップしているのかは分からない。
はっきりと言おう、…ただのゴミだ。
落胆し、肩を落とした目線の先に誘導棒があった。
『お前の電池が消えなけりゃ、こんなことになってねーよ』多分。
辺りは月明かりに照らされ元々いた場所より明るく感じる。
とはいえ今は夜、月明かりだけでは容易に動けない。
はぁ、、、
ため息をつき、何と無く誘導棒に手を伸ばした。
地面にコンコンと打ち付けてみるーーーー真っ赤な明かりが周辺を照らした。
『なんだよー!お前つくのかよー!』
地面に手をつき無駄に吠えてみる。理由は気持ちを落ち着かせるためかも知れない。
目の前に明かりがある、ただそれだけなのに妙に安心した。
赤い光に安心したところで、俺はあることに気付いてしまう。
『つーか、あっちーなぁ!』
真夏の暑さである。
真冬の警備で使う制服は無駄に分厚い。そしてめちゃあったかい。
そんな冬の制服を着るはずなのに、冬だった筈なのにここは真夏のそれである。
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