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『くっそ、日本じゃねーのかよ、』
ここが地球かどうかすら分からないのに、頭の中では異世界って考えにまで到達出来ないでいた。
中二病を長くひきづるにしても、良い大人になったら脳内処理の範疇外だ。
確かに高校生くらい迄は異世界にいって勇者になって姫とあんな事やこんな事ーーーって妄想もあった。
さすがにこの歳じゃ痛すぎる。元よりそんなにオタクでは無い。
光は記憶違いできっと誘拐だと、そう記憶を操作したところで一旦落ち着いた。
厚い上着を脱ぎ、腰に巻く、長袖のインナーを捲り上げ、額まで落ちてきた汗を前髪ごとかき揚げ後方へ撫でつける。
でも、頭のどこかでは理解している、こんな俺なんか誘拐したところで何の利益にもならない。
とりあえず、ここが一体何処なのか、俺に一体何が起こったのかを探らなくてはならない。
俺は一先ず森へと足を進める事にした。
一先ず、森の中へ歩を進めるのを断念した。
何故かって?そりゃ、目の前に服着た狼が目をギラギラさせて舌なめずりをしているからじゃね?
森に一歩踏み入れた足を後退りしながら少しずつ崖の方へ後退させてゆく。
『ワォ、ウヲウォーー、ウォーウー』
『な、何だよ、俺なんか食ったって美味しくないぞ!』
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