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「受け入れてもらえることはないんだと
深く関われないんだって
だけど…私はそうあって欲しくなくて
心から受け入れて欲しいと願う人が現れたとき
雪から避けていたら出会うことが出来ないって
たくさん傷つくこともある
視たくないこともたくさんあると思う
だけど…
それでも雪がこの先
誰かと手を取り合って助け合って
生きていってほしいから…
…ごめんなさい
高森さんに雪を受け入れてほしいと言っているんじゃないんです
ただ雪を分かって欲しくて
できたら今まで通り接してもらえませんか…」
蒼井のことを想ってここまで来た西村さんを前に
俺の悩んでたことなんてちっぽけで…恥ずかしくなった
「大野くんは…気が付いてるみたいだよ
雪の能力」
「え…?」
「俺の後輩も知ってる」
「うそ…だって雪が打ち明けたのは高森さんが初めてで…」
西村さんは心底驚いた顔をしていた
「俺が初めて…?」
「そうです…」
〝蒼井さんが自分から能力のこと打ち明けるわけないじゃないですか
俺のことただの後輩としか思っていないのに…”
“知ってる…はちょっと語弊があるかな
気が付いてるって感じです…”
そうだ…
田中はそう言ってた…
じゃあ、蒼井は俺を信用してなかったんじゃない
俺を信用して打ち明けてくれたのか…
それなのに今まで黙っていたことにこだわって…
蒼井が勇気を振り絞って打ち明けてくれたのに
どうしてちゃんと向き合ってあげられなかったのか
一番傷つけることをしたんだ
もう俺を見てくれることはないかもしれない
だけど、俺の気持ちをもう一度…
「ありがとう!西村さん
蒼井のことを話してくれて」
深々と頭を下げる
今すぐ蒼井に伝えたい
俺の気持ちを
ちゃんと向き合っていきたいって
もう一度…
好きだって
傷つけてごめんって…
田中に触発されて
西村さんに背中を押してもらって
大切なことに気付いた
もう遅いかもしれない
でも…譲れない
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