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ラウンジでいつものように由香と美紗ちゃんといるときだった
「蒼井」
見上げると同じクラスの大野くんとそのお友達たち
大野くんは由香にペコっと挨拶をする
「どうも、大野です」
由香もペコっと挨拶をした
「インテリアの久保田と藤
西村さんは知ってるよね?」
大野くんは由香の名前を知っていた
「俺たちもここ座っていい?」
私と由香は目を合わせたが、すかさず
「どうぞ~」
美紗ちゃんの声がした
誰とでもきさくに話ができる美紗ちゃんは迷いがなかった
こういうことで慎重になってたらダメなんだ
《大丈夫?》
膝の上にのせていた手に由香の手が触れた
「大丈夫だよ…」
小声で答える
それから6人で集まることが多くなった
1年が過ぎたころ科の課題や就活も厳しさを増して
由香は久保田くんと一緒にいることが多くなっていた
「由香、課題で相談したいことがあるんだけどいいかな?」
「うん、良いよ」
由香の顔が少し照れたように見えた
高校の頃から恋愛には興味がないように思えた
美人でモテるのに全く男の子とは関わろうとしなかったけど久保田くんとは違う気がした
久保田くんもきっと由香を好きだ
美紗ちゃんと藤くんは意気投合で出会ってしばらくして付き合いだした
由香と美紗ちゃんがとても幸せそうで
私もすごく嬉しかった
…と同時に辛い現実を受け入れなければいけなかった…
学校生活は由香と美紗ちゃんがいてとっても楽しかった
残念なことといえば私には恋愛が出来ないのだと解ったこと
好きな人ができたとしても…
触れることができない
恋愛なんてとてもじゃないけど…
好きな人ができてもこの能力(こと)を打ち明けることはできない
解りきっていたことなのに改めて考えると落ち込んだ…
この現実に向き合わないといけないんだ
『今日空いてる?
話したいことがあるんだ』
大野からのメール
ラウンジで大野を待っていると
「雪 待たせてごめん…」
走ってきたのか息を切らしていた
「今来たところだよ」
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