近づいても…

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近づいても…

「蒼井、お疲れ 今回のクライアントは厳しかったな よくやってくれたよ これで皆の分何か飲み物でも買ってやって」 「ありがとうございます」 「蒼井さん一緒に行きますよ」 さっと来たのは田中さん 「お疲れ様でした蒼井さん」 「田中さんもお疲れ様」 「何飲みます?」 「何しよう」 「課長ありがとうございます 何がいいですか?」 袋の中を見せると 「先に選んでいいぞ 俺は余ったのでいいから」 少しはにかんで 課長はパソコン画面に向かい仕事を続けた いつも課長が飲んでいる缶コーヒーを机にそっと置いた 「分かってるな」 と言ってまたパソコンに向かう 課長は余計なことは言わない 話すことは的確で 仕事も部下に任せてくれ きちんと評価をしてくれる 分かっているのは課長だ 「こっちの分の飲み物はないの?」 ひょっこりパーテーション越しに頭を出して高森が立っていた 「2課の分だから」 「冷たいなぁ…」 口を尖らせながら言う 「あるじゃん」 私の机に置いてある開いたミルクティーに口をつけた 「それ!私が飲んでるやつ」 って、もうグビグビ飲んでる 「ケチなこと言うなよ そっちにもあるだろ」 悪い笑顔でこちらを見る 飲みかけなのに… 「これは後で飲もうと思って置いてて…」 「そんな脹れんなって」 ほっぺたをツンツンしてきた 何だか今日の高森は距離が近い 高森を意識してから会社で見かけることはあっても 話をするのは久しぶりだ 突然でドキドキする暇もなかった そんなこと考えたら急に鼓動が早くなる 顏…赤くなってないかな 恥ずかしくて高森の顏が見れない 「高森さん休憩ですか?」 「あぁ…ちょうど飲み物もらってたところ」 田中さんから声がかかって高森の手が私の頬から離れた 「んじゃ、俺も戻るわ」 ちらっと高森を見た 触れられた頬が熱くて 恥ずかしさのあまり頬に手を当てた
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