特別な想い

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「ここ!」 「あっ!このお店前から気になってたんだ。」 「ここの店、料理も酒も旨いよ。」 やっと出たのがこれじゃ 色気もないな… 「まだ他にも美味しい店があるからまた行こうよ。」 「うん…また連れてって…」 良かった…次の約束ができる 笑顔の蒼井を見てほっとした 蒼井はいつもと変わらない 蒼井は必要以上に喋らないけど、話せば返してくれる 温かくて 優しくて 一緒にいると落ち着くんだ 「今日、田中さん元気がなかったね…」 「そうか…?」 蒼井から話してくれたと思ったらまた田中かよ… イライラする 「あのさ…今日は田中の話はなしで…」 はっとした…思わず出てしまった言葉に 蒼井の表情が怖くて見れなかった 「ごめん… こんなこと言うつもりじゃなかったんだけど…」 ちらっと覗いた蒼井の顏は不安気に悩んでいるようで… そんな可愛い顔で田中のこと考えないでくれ! …って嫉妬… 嫉妬なんて… 格好悪いな… はぁ…と溜息をつく 「鈍いの?」 あぁ…言葉が止まらない 蒼井は田中が好きなのか? 考えてもキリがない… じゃあ…確かめたらいいのか… 確かめたら今の関係は… そのままではいられなくなる… 蒼井と話ができなくなるのはもっと嫌なんだ だけどこのままでもいられない… そっと蒼井の顔を見た 「何考えてんの?」 思いつめたように 「鈍い…について考えてた…」 と蒼井は言った 躊躇ったように蒼井が話し出した 「私… 考えていることが分かるみたいで嫌だって …言われてきて… だから距離をおくようになって… 人と上手く関われなくて… だんだんと関わることも怖くなって…」 蒼井に感じる壁… ずっと感じてた ずっと壊したいと思ってきた 「蒼井は自分の話はしないし、人のことも必要以上に聞いたりしない… だから、きっと皆壁を感じているだけかも… でも俺はその壁をなくしたい…って思ってて 俺としては俺との壁だけでいいんだけど」 思わず蒼井の頭を撫でた …好きだ… 蒼井の気持ちが知りたい… 何だか不思議そうな顔をして 「…じゃあ、鈍いっていうのは?」 「いや…だからそれは…」 俺のことだっつーの 本当に鈍いよね…
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