71人が本棚に入れています
本棚に追加
休日のひと時
「雪~」
由香が大きく手を振って私を呼んだ
由香は私の高校時代からの友人
私のことを一番良く知る心友
こんな私を受け入れて私の傍でずっといてくれた
とっても美人で…容姿だけじゃなく、心もとてもキレイ
「元気にしてた?
会社はどう?」
「元気だよ。
会社も大丈夫、うまくいってるよ」
「あんまり連絡してこないから心配してたんだよ」
そう言って由香は少し寂し気な顔で見つめる
「ごめんね、心配してくれてありがとう
後輩も入って最近落ち着いてきたところで、忙しくてなかなか連絡できなくて」
由香が心配する気持ちは痛いほど伝わってきた
必要以上に人と親しくなれない私を見守ってくれていた
他の友人とも由香のおかげで仲良くなれた
今は…高森のおかげで同期や会社の人たちと新たな関係を築けているんだ…
そっか…
あの日感じた高森への想いは由香と似ているから…?
入社して新卒研修を終え同期で打ち上げ
私にとっては忘れられない日
今まではこういった場にはなるべく参加しないようにしていた
だけど、もう社会人避けては通れない
なるべく関わらないように努めようと…
意を決して参加した
慣れない場と秘密がバレないかと心配から
極度に緊張していた
お酒もほとんど飲んでいないのに私の顏はみるみる青ざめていった
そんな私に気付いてくれたのが高森だった
「大丈夫?」
「あ…大丈夫…」
「そんなに飲んでなかったよね
ちょっと外の空気吸いに行こうか」
そう言うと半ば強引に腕を掴んで外へ連れ出してくれた
「大丈夫?」
「ありがとう…こういう場に慣れてなくて緊張しちゃって…」
ガードレールに腰を掛けて休んだ
少し緊張もほぐれて気分も幾分ましになった
「ごめんね…もう少しここに居たいから先に戻ってて」
「俺もちょっと涼みたいから」
隣に高森も座った
何か喋るわけでもなくただじっと黙ったまま
緊張していたはずなのになぜか落ち着いて心は穏やかだった
この人には人を惹きつけるものをもっているのかも…なんて思ったりした
知り合ったばかりの人と隣に座って静かな時間を過ごしたことはなかった
最初のコメントを投稿しよう!