その指先

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「あ、ごめ…」 本を取ろうとしてぶつかった彼の指先は、その銀縁眼鏡と同じくらい冷たかった。 「…別に」 ぶっきらぼうにそう云うと、抜き取った本を渡してくれる。 「あ、でも」 「…そっちが先だったし」 「…ありがとう」 少し朱が差した頬で顔を背ける彼は、指先とは反対みたいだ。
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