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短大を卒業すると、「人形のような白い顔がことのほか気ったらしい」と見合い婆から話を持ち込まれた。
たった、それだけの理由で?
この地でも有数の旧家の後取り息子との縁談は「とても釣り合わないから」と幾度も固辞したけれど、「お宅のような家が断るなんて(逆ならあってもあり得ない)」と非難されればもう両親も断り切れず。優しく「会うだけ」と言われて、料亭での日取りが決まった
が持ち上がった。当日は着物を着せられ、作法もろくに知らないのに格式の高いお店や仲居さんといった人目がとても居心地が悪く、自分が場違いな所に居ることにとても緊張し、とてもお見合いどころではなかった。
正直、会えば、悪い人ではなさそうだった。
それより傍にいる彼の父の視線に、どうしてかどきどきとした。
口元は笑みを浮かべているのだけれど、じっとねめつけるように見据えられ、身が縮こまる。
でも昔からたまによくそうなる。校長先生や、お医者さんなど偉い人と話すとき、どきどき緊張して上手く話せなくなるのだ。
そこに居るはずのお母様は、既に亡くなられているということだ。
義父は持っている会社を既に引退し、不動産などを管理しているという話だ。
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